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企画展|もうひとつの90年代 時代を超える関西の作家たち
会 期:5月29日(金)–31日(日)*フェア開催時間に準じる
会 場:コングレスクエア グラングリーン大阪 ロビー [MAP]
入場料:無料
出展作家:赤崎みま、児玉靖枝、松井紫朗、中川佳宣、押江千衣子、館勝生、田嶋悦子
キュレトリアルアドバイザー:加藤義夫(APCA理事/加藤義夫芸術計画室)
協力:アートコートギャラリー、ギャラリーノマル、イムラアートギャラリー、西村画廊、サードギャラリーAya、Yoshimi Arts
近年、1980年代の日本美術を物語る企画展が国公立美術館で相次ぐ中、その後の1990年代とはどういう時代だったのでしょうか。バブル経済(1986-91)が崩壊し、就職氷河期(1993-2004)がはじまり、1995年に阪神淡路大震災とオウム真理教の地下鉄サリン事件が発生、1997年は大手金融機関が破綻。美術界においては、1992年に横浜で現代美術の大規模な国際アートフェアNICAFが開幕し、1994年に第1回VOCA展、1995年には東京都現代美術館が開館する中、1999年にセゾン美術館が閉館。不穏な時代の幕開けであり、失われた30年のはじまりといえます。
本展では、既存の美術史とは異なるもうひとつの流れとして、ギャラリストの視点から関西ゆかりの作家による1990年代の貴重な作品を紹介いたします。美術家の個展やグループ展のスタートはギャラリーからはじまり、やがて美術館の展覧会が後を追います。その意味で、ギャラリーの企画展は現代美術の最前線といえます。
あわせて今回、出品作家より当時を振り返るテキストを寄稿いただいています。それらは、90年代を単なる過去としてではなく、今日へと連なる思考の起点として再考するための重要な証言となるでしょう。ギャラリストのまなざしから90年代美術を検証し、さらに既存の美術史が見落としてきた質の高い表現を洗い出し再評価することで、日本のニュー・アート・ヒストリーを創造する展覧会になればと考えます。
◉ 関連トーク
90年代再考:美術館と画廊の視点
日 程:5月30日(土)13:00–14:00
会 場:コングレスクエア グラングリーン大阪 ルームL
登壇者:林洋子(兵庫県立美術館 館長)、加藤義夫(弊社理事/加藤義夫芸術計画室)
■□ 出展作家 ■□
赤崎みま
1965年兵庫県生まれ。1988年武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科卒業。日本の女性写真家の草分けである山沢栄子から直接薫陶を受けた。
90年代、自ら制作したオブジェに光を当て撮影するシンプルな手法で写真作品を制作する。鮮やかな光を放つ被写体は、一見、正体不明で具体とも抽象とも言い難い不思議な印象を残し、見るというよりは、脳に残像が残るというような体験を引き起こす。赤崎はそういった写真を使い、空間に敷き詰めたインスタレーション作品も制作した。近年は「希望」を象徴する植物等の被写体が自ら発光するようなイメージを創り出し、初期作品とは違う展開が注目された。主な展覧会に、1996年「アートシーン90ー96 水戸芸術館が目撃した現代美術」、2004年「新花論」東京都写真美術館、2007年「ゆっくり生きる。」芦屋市立美術博物館、2013年「無花果の森」The Third Gallery Ayaなど。これまで、被写体を変えながらも一貫して様々な「光」を表現している。2008年文化庁芸術家在外研修員としてチェコ共和国に1年滞在し個展開催。
[パブリックコレクション]
南芦屋浜団地(兵庫県営棟ピロティ)、株式会社資生堂、シュルンベルジェ株式会社

児玉靖枝
1961年兵庫県生まれ。1986年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。
1980年代の精緻な静物画から’90年代の抽象表現、そして、’90年代終盤以降の抽象と具象を往還する絵画表現を経て現在に至るまで、児玉は一貫して「存在すること」の本質を探り、またその反照として「いま、ここにいる自分」、そして自らと対象を包む世界への眼差しをとらえようとしてきた。
単色のストロークのみから成る’90年代の作品群は、現実世界から自立した絵画言語としての筆線の動きによって、可視的な世界だけに依拠することのない絵画的次元を開くことで、存在の深奥=「不可知の存在」に出会おうとする作家の姿勢を示すとともに、当時三十代の作家の、水脈のように湧き起こる瑞々しい感性の結晶のようでもある。
[パブリックコレクション]
大分県立美術館、神奈川県立近代美術館、東京国立近代美術館、兵庫県立美術館、和歌山県立近代美術館、釜山市立美術館、京都府、資生堂アートハウス、東京オペラシティアートギャラリー、中信美術奨励基金

松井紫朗
1960年奈良県生まれ。1986年京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。
1980年代より、松井は木、金属、土、石などの素材を用いて人の知覚や空間概念に働きかける、どこかユーモラスでダイナミックな作品を発表し、「ART NOW ’85」に選出されるなど、“関西ニューウェーブ”を担う若手美術家の一人として注目を集めた。90年代以降は建築物と一体となったインタラクティブ作品や、巨大バルーンの作品も手掛け、さらに近年はJAXAとの共同実験や《手に取る宇宙》プロジェクトなどを通じ、「宇宙から日常までを含む多様な時空間の認識と経験」をテーマに、様々な素材、形体、色彩、スケールで驚きに満ちた作品を提示し続けている。
[パブリックコレクション]
宇都宮美術館、京都市美術館、豊田市美術館、新潟県立近代美術館、兵庫県立美術館(山村コレクション)、山口県立美術館、京都市立芸術大学、文化庁、京都府、宇部市、米子市、ザールブリュッケン市、ダイムラークライスラー

中川佳宣
1964年大阪府生まれ。1987年大阪芸術大学芸術学部美術学科卒業。
1987年の初個展から現在まで、一貫して植物、大地、水面といった自然界の有機的な姿、形をモティーフにした作品を制作。能動と受動、光と影、生産と搾取ー自然界の根源的な様は、実は我々を取り巻く世界の本質である事を、立体、平面、インスタレーションなど多様な表現方法をもちい、目に見えるかたち、あるいは感じ取るものとして提示する。
現在は琵琶湖湖畔に拠点をかまえ、精力的に制作活動を続けている。
[パブリックコレクション]
東京国立近代美術館、京都市美術館、和歌山県立近代美術館、芦屋市立美術博物館、大分県立美術館、いまだて芸術館、京都府立文化芸術会館、大阪府、大阪芸術大学、昭和シェル石油、富士ゼロックス株式会社、ヤマサ言語文化研究所

押江千衣子
1969年大阪府生まれ、1995年京都市立芸術大学大学院を修了。オイルパステルを指でのばす手法で、道端の草花などを独自の鋭敏な色彩感覚で描いた作品を制作し、そのみずみずしい感性が在学中から注目を集める。ヨウシュヤマゴボウとの出会いをきっかけに、身近な雑草や草花を手にとって眺めながら描くスタイルで、対象への愛情と親密な距離感を伝える作品を制作し、2001年にはタカシマヤ美術賞、VOCA賞、京都市芸術新人賞を立て続けに受賞。2003-2005年、文化庁新進芸術家海外留学制度でベルギーに滞在。つねに新たなテーマと構図に挑戦しながら確かな歩みを進めている。
[パブリックコレクション]
味の素ファインテクノ株式会社、芦森工業株式会社、浦和ロイヤルパインズホテル、大原美術館、群馬県立近代美術館、サクラアートミュージアム、市立ひらかた病院、第一生命保険株式会社、高橋コレクション、高松市美術館、東京オペラシティアートギャラリー、デルタ航空株式会社、日本経済新聞社、みのかも文化の森 美濃加茂市民ミュージアム、和歌山県立近代美術館

館勝生
1964年三重県生まれ。1987年大阪芸術大学芸術学部美術学科卒業。2009年44歳で逝去。
館は、大胆なストロークと速い筆勢により、自身の中で生成されるイメージを有機的で抽象的な形態として描いた作家である。実家が養蜂場を営んでいたことから、幼少期には花を求めて全国を巡る生活の中で、四季や朝夕の移ろいといった自然を肌で感じながら育った。そうした原体験が創作の重要な源泉となり、虫をモチーフとする表現へと展開していった。1994年には「現代美術の展望-VOCA」(上野の森美術館)に選出され奨励賞を受賞。1998年には原美術館「ハラ ドキュメンツ5」、2001年には三重県立美術館で個展を開催するなど、美術館での発表も重ねた。2008年12月まで制作を続け、画業を通して作品は絶えず変化し、深化を遂げた。
[パブリックコレクション]
三重県立美術館、第一生命保険相互会社、国立国際美術館、甲南大学、愛知県美術館、和歌山県立近代美術館、碧南市藤井達吉現代美術館、京都市京セラ美術館、兵庫県立美術館

田嶋悦子
1959年大阪府生まれ。1981年大阪芸術大学工芸学科陶芸専攻卒業。
田嶋は1980年代、従来の美術の枠にとらわれない力強い表現で注目された「超少女」を代表する作家として登場した。初期作品は女性の身体性を象徴する造形と鮮やかな原色にあふれ、そのエネルギーで多くの視線を惹きつけた。1988年頃からは植物を思わせる有機的なフォルムが現れ、形や質感、周囲の空気の存在を意識した制作へと変化する。1992年頃には白化粧のみの白い作品へと発展し、静謐で内面を見つめるような世界観を示すようになる。さらに、モールド・キャストで生まれる半透明ガラスを陶と組み合わせ、洗練されたしなやかさと力強さを併せ持つ独自の表現世界を築き上げた。
[パブリックコレクション]
滋賀県立陶芸の森、石川県立九谷焼技術研修所、岐阜県現代陶芸美術館、日本美術工芸館(アルゼンチン)、金沢21世紀美術館、高松市美術館、髙島屋史料館、国立工芸館、茨城県陶芸美術館、大原美術館、兵庫県陶芸美術館、富山市ガラス美術館、ZENBI 鍵善良房 KAGIZEN ART MUSEUM、Yingge Ceramics Museum(台湾)、Chazen Museum(アメリカ)、San Francisco Asian Art Museum(アメリカ)、The Museum of Fine Arts, Houston(アメリカ)
